【吉兆庵美術館】ふっくら、まんまる、徳川家のお人形展2025年12月01日

　日本人は、古来より人形に対して特別な愛着を持ち続けてきました。そんな日本人のこころに育まれて、日本には「人形の国」と言っても過言ではないほどたくさんの人形が生まれました。
　江戸時代、将軍家である徳川家では大奥を中心に様々な人形が愛好されていました。なかでも愛くるしい稚児をかたどった御所人形は、その技術の高さと芸術的価値を感じさせる佳麗で気品にあふれる人形で、日本人形の粋とされています。かつて京都で制作されていた御所人形は、御所や公家の間で、贈答品として重宝されていたことが、その名前に由来しています。頭が大きい三頭身で、肌が白くふっくらと健康に満ちた愛らしい表情が特徴で、細やかな装飾や華やかな衣装で飾られた豪華なものも生まれました。武家社会であった江戸時代には、貴族たちだけのものではなく上級武士たちにも愛され、勇ましい武者の姿をした人形も登場しました。
　本展では、徳川家にゆかりのある、ふっくらとまるまるした大型の御所人形を中心に、優雅な人形文化をご紹介する展示をいたします。慶事事のために贅を尽くして調えられた作品は精緻で格調高い魅力にあふれ、多くの人々の心を惹きつけます。豪奢で雅やかな世界を伝える佳品の数々をお楽しみいただければ幸いです。



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