与謝野晶子「百首屏風」2020年09月28日

巨匠の和歌と俳句展

岡山・吉兆庵美術館にて開催中の「巨匠の和歌と俳句展」では、江戸時代の松尾芭蕉や良寛をはじめ、明治から昭和にかけて活躍した歌人や俳人の作品、約50点を一堂に公開しています。 全部で18人の作品が楽しめ、今回の「美術館のピックアップ情報」では、与謝野晶子の逸品をご紹介します。

与謝野晶子

明治11年(1878年)12月7日―昭和17年(1942年)5月29日。
日本の歌人、作家、思想家。戸籍名:与謝野志やう(よさの しょう)。ペンネームの「晶子」の「晶」は、本名の「しょう」から取った。夫は与謝野鉄幹(与謝野寛)。
情熱的な作品が多いと評される歌集『みだれ髪』(1901年)や、日露戦争の時に歌った『君死にたまふことなかれ』が有名である。『源氏物語』の現代語訳でも知られる。雑誌『明星』に短歌を発表しロマン主義文学の中心的人物となった。
下記写真:公益財団法人軽井沢美術文化学院提供

「百首屏風」

与謝野晶子の書体が楽しめる「百首屏風」は、日本各地で十数枚確認されています。この「百首屏風」のほとんどは夫である与謝野鉄幹が明治44年にヨーロッパへ外遊する資金を工面するため、晶子が内職をして書き上げた逸品として知られています。
屏風の句の中には、晶子が発表した句集の中で同じ句が確認できることから、「百首屏風」の制作時期を推定することができます。今回展示している当館所蔵の屏風は明治時代の和歌に加え、大正時代、昭和初期に発表された和歌が確認されています。このことから、こちらの作品は、明治の旅行資金のためではなく、晶子の次男 秀(しげる)が昭和3年7月に日本大使館員としてパリに赴任する時に制作されたものだと考えられ、数ある百首屏風の中でも希少で珍しく、一句一句をより丁寧に書き込んでいったものになります。

岡山・吉兆庵美術館にて開催中「巨匠の和歌と俳句展」

その人の人柄や性格を映し出すといわれる書。この機会に教科書にも登場する歌人・俳人たちの直筆の句をご覧になりませんか。

岡山・吉兆庵美術館(岡山市北区幸町7-28)
企画展:「巨匠の和歌と俳句展」
会期:令和2年9月8日~11月8日