犬張子形ボンボニエール2021年05月24日
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手のひらサイズを愛でる
鎌倉・吉兆庵美術館にて開催中の「手のひらサイズを愛でる」では、小さな工芸品と細密画を通して、職人の緻密な細工を鑑賞し、小さな世界に迷い込んだ感覚をお楽しみいただけるような展示をしております。
今回の「美術館のピックアップ情報」では、ボンボニエール「犬張子形ボンボニエール」をご紹介いたします。
ボンボニエールとは
ヨーロッパでは子供の誕生祝いや結婚祝いなどの慶事に際して砂糖菓子(ボンボン)が食べられることが多く、菓子を納める容器もボンボニエールと呼んで、記念品として贈る風習があります。日本で明治時代に西洋の儀礼や生活様式が取り入れられた時に、皇室でもこの文化に倣いました。以降、皇室内でのご誕生、成年、立太子、ご結婚、ご即位に催される饗宴に合わせてボンボニエールが作られるようになります。日本の伝統的な工芸意匠が凝らされた銀製品は、外国人からの人気も集め、日本の近代化に大きく貢献しました。小さなボンボニエールですが、日本の優れた技術と文化を感じ取ることができます。
「犬張子形ボンボニエール」
こちらは、昭和8年12月23日にお生まれになられた継宮明仁親王殿下(現在の上皇陛下)のご誕生記念のボンボニエールです。犬は多産で子犬は病気もせず、すくすく育つと言われており、この犬張子は安産や子供の健やかな成長を願う縁起物です。犬の胴部には、菊の御紋と上皇陛下のお印である「榮」のモチーフ(植物の葉の模様)が見られます。この作品は5㎝ほどの小さなものですが、犬の愛らしい表情や丁寧な細工、何より金属で作られていることを感じさせない滑らかな造形、すべてが活き活きと表現豊かに作られています。
鎌倉・吉兆庵美術館にて開催中「手のひらサイズを愛でる」
和船や雅楽などの意匠をあしらったボンボニエール約30点を中心に可愛らしい御所人形
や小さな道具の数々を揃えた雛道具など、合計110点の美術品をご紹介しています。
この機会にぜひ、小さな世界に垣間見える職人のこだわりをご覧になりませんか。
鎌倉・吉兆庵美術館(鎌倉市小町2丁目9-1)
企画展:「手のひらサイズを愛でる」
会期:令和3年3月6日~6月6日